201711/11你好ペニノ

下書きから発見した昨年の

 

KAATまでの、まだかつぎかと顔を上げながら東急東横線を直通する気だるい時間は、今日は劇を見る日だと意気込んでいた頃は観劇が日常の外にあったことをちょっとだけ思い出す。遠くて特別か、近くてタケノコか。しかしもうすでに電車の先に劇場があることに慣れてしまっているし、近頃は戻ることの代わりに無くなることしかないことの方が多くなってきている。庭劇団ペニノ『地獄谷温泉 無明ノ宿』をみた。

初めてのKAAT5階ステージは入り口から客席が見えるまでの暗さや階段状の座席、最前列と舞台までの距離、客席の幅よりも狭い舞台幅等が映画館のようだった。おそらく中規模(調べたらなぜか施設概要で404エラー2017/11/11)、ほぼ満席。後に回転舞台だと知るが、元々くっきり赤い幕が張られた枠の中にある舞台を見ながら、客席との壁をつくらない、むしろ壊す工夫が為されない演劇は久々に見ると気づく。

幕のそよぎはうねうねと待機し、それが開けた時の些細な舞台美術までの目を慣らしたような。

川島雄三『しとやかな獣』ではカメラが縦に上がり頭上から室内の仕切りと人間の動線を見せたが、演劇では人間が四つの空間を横切った。

路地のネオンに引かれて見つけた台湾料理屋你好でピータン豆腐を噛んだ口。